二酸化セレンを用いてケトン、アルデヒドのα-位、アリル位の酸化を行う反応。アリル位の酸化反応では、2価セレンの再酸化剤としてtBuOOHを用いることで有毒な二酸化セレンを触媒量に減らすことが可能。
ケトン、アルデヒドのα-位の酸化の反応機構ケトン、アルデヒドのエノールが二酸化セレンを攻撃し、水が脱離した後、再度水が付加するというPummerer転位様の反応が進行する。その後、セレンが脱離することで1,2-ジケトンとなる。
アリル位の酸化の反応機構二酸化セレンは、水中で亜セレン酸との平衡状態となっているが、実際の酸化剤として働くのは、二酸化セレン。

まず、エン反応が進行し、その後、[2,3]-シグマトロピー転位が進行し、水で加水分解が起こることで生成物となる。酸化数の落ちた水酸化セレンはtBuOOHで再酸化されることで、二酸化セレンに再生される。エン反応はいす形環状遷移状態を経由して進行し、[2,3]-シグマトロピー転位は、封筒型の環状遷移状態で進行するため、アルケンのジオメトリーは保持される。


アリル位の酸化の反応機構の参考文献D. A. Singleton, C. Hang
J. Org. Chem. 2000,
65, 7554–7560.
C. S. Ra, G. Park
Tetrahedron Lett. 2003,
44, 1099–1102.